もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

ランチの写真を撮ってインスタに上げてみた話

こんにちは、hanadekameganetです。


子供が産まれてからというもの、基本的に家族で買い物と言えば
イオン、ヤオコーイトーヨーカドー西友、ドンキ、コーナン
という具合でして、ふと


「あれ、何か全ての思い出の背景が一緒だな…」


ということに思い至り、なかなかに寂しい思いをしているわけなんですが、
今日は仕事の関係で珍しく百貨店に行く機会がありました。


百貨店!


子供がいない頃からだってそうそう行く機会の無かった場所です。





僕にとって百貨店というのは
「おばあちゃんと母親が時々おめかしして買い物に行く場所」
であり、
「人にお祝いとかお礼の品物を買いに行く場所」
であったからです。


自分の為の買い物をしたりする場所ではない、と何となく思ってあまり行く機会がなかったのですが
きっかけは仕事とは言え、子供もいないわけだし、少しだけ見て行くか!ということで店内を見て回ってみました。


久々に言った百貨店で僕が感じたことは「あれ、百貨店ってこんなに空気が違かったかな…?」ということでした。


そうなのです。


すっかりスーパー、コンビニ、ホームセンターの「まあ、好きにやってよ」という空気に慣れきっていた平和ボケした僕にとって、黒い服に身を包んで各店舗の入り口で「スッ…」という感じでひっそりとたたずむ販売員の皆様の醸し出すビンビンな緊張感はもうとんでもなく激しいものでして



まるで「オイオイ、まさか買う気もないのにここまで来たって言うのかボウヤ?」と言う幻聴まで聞こえ始めました為、耳を引きちぎって土下座することまで考えたのですが、なんとか理性を保ってランチを食べてみることにしました。


百貨店でランチ…


その響きを聞くだけでもなんだか悪いことをしているような気分になってしまいます。家に残してきた妻と子供たちに「すまねえ、すまねえな…」と呟いてしまうほどです。


とはいえ、何を食べたらいいものか。僕の中ではなんとなく「サザエさん」でカツオが時々ノリスケにうまいこと言って美味しいもの(大抵海老フライみたいなのがある)を食べているのが「百貨店のランチ」なんですが、まさかお子様ランチみたいなものを食べる訳にも行きません。


レストランのフロアに行ってみると、見るからに時間もお金もたっぷり持っていらっしゃいそうなご婦人方が群れをなしてお店に行列を作っていたので、その熱気と迫力に5歩ほど後ずさってしまいました。


和食も洋食も中華もなんでもあるんですが、それとなく値段を見てみると「なべやきうどん 2500円」みたいに書いてあって、心の中では「高いよ!普段のうどんが3杯食えるよ!何の値段なんだよ!鍋か!?」とパニック状態でしたが、ご婦人たちの前で取り乱す訳にも行かないので表情を変えずに店の前をスルーして行きます。

そのあとも何軒か「ふうん・・」「なるほど…」「そう来たか…」などと平静を装いつつ歩いていたらフロアの端まで来てしまったので、諦めて百貨店ではなくてその近くのショッピングビルのレストランフロアへ移動しました。

こちらの方は比較的お値段もやさしい感じだったので、ホッとして一軒のお店に入りました。


丼ものが中心で、美味しそうなメニューが多かったので入ったのですが、ふと周りを見回すと、若い女性ばっかりです。

平日のお昼、ショッピングビルでランチをしているオッサンはそうそういるものではありません。
僕はまるで女子大の学食に迷い込んだ変質者のような気分になって急な肩身の狭さを感じてしまいました。


僕の隣には若い女子4人組が食事をしており、聞こうとしていたわけではないんですが(強調)聞こえて来る話から類推するに、来年就職予定の大学4年生、というところのようです。

四人のうち一人は現在付き合っている彼氏から結婚を切り出されているようで、

「てかさー、就職したら無理じゃない?3年くらいちゃんと働きたくない?」
「あー」
「それ言ったらさー、『就職しても結婚は出来るでしょ』みたいに言われて」
「あー」

ということで「なるほどガールズトークというのは相づちに『あー』を多用する、と…」などと心のメモ帳を付けておりますと僕のテーブルにも注文した「炙りサーモンとアボカド丼」という誠になかなかの女子力高めメニューが運ばれてきました。


その見た目!いくらなども散りばめられ、キラキラしていてとってもキレイなのです。
そのとき、僕は思いました。


あ、写真撮りたい…


と。


不思議な感情でした。


普段昼食を外でとっても、出された料理を写真に撮ろうなどとこれっぽっちも思ったことがなかったのに、なぜかそのとき急に
「このまま食べるのもったいない」
と思ったのです。周囲の圧倒的な女史たちのパワーにより、僕の中の眠れる女子が目を覚ましたのでしょうか。
とにかくその衝動は激しく抑えきれないものとなっていました。


写真を撮ろう。


手元のiphoneを取り上げ、カメラを起動させます。
と、手が止まりました。待てよ、と。


キモくない?


女子だらけのごはん屋さんで一人でランチして料理を写真で撮ってる30過ぎたオジサン、キモすぎない?と今度は僕の中の理性が疑問を投げかけてきたのです。この強烈な自意識が発動すると、もう全てがそう見えてきます。
隣の席の女子4人組がこっちを見ているような気がしてきました。
写真撮るところ見てないか?バレないか?盗撮していると思われないか?そんなことばかり頭の中をぐるぐる回って行きます。


でも、せっかく来たのに…ええい!別に悪いことしてるわけじゃない!堂々とやろう!


カシャッ…


響くシャッター音。
その瞬間店内中の声が止まり、静まり返った店内で女子たちが僕の方を一斉に見た、ような気がしました。


脇の下を汗が流れ落ちるのを感じながら、決死の覚悟で僕が撮ったのがこちらの写真です。


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今見てみると、何の為にそこまでして撮ったんだかまったくわかりません。


なんだ、何が違うんだ?
女子大生と僕の何が違うんだ?


何がというか、何もかも違うのは重々承知していますが、なんとか決死の覚悟で撮影した画像を昇華させたい一心で一応instagramにも投稿してみました。
画像をいい感じで加工すれば、少しは見え方も違うはず!



…微妙でした。


やはりランチをただ撮影すればいい感じになるわけではないようです。僕の女子力はまだまだですね(高める必要がない)


ちなみに、僕の隣の女子大生四人組が話していた

女子大生A「なんかさー、最近おいしいもの食べているときの幸せ以外の幸せ感じないわー」
女子大生B・C・D「やめよう、やめよう、この話」


という流れがすごい面白かったです。