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もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

見なかったことにする

風呂場のドアが壊れている。

実は引っ越してきてかなり早い段階で壊れている。
全然力を入れていないのにフレームからすりガラス調の樹脂パネルみたいなのが外れたので、もともと壊れかけていたのだと思う。

とはいえ、はめ直せば元に戻るし、完全に壊れているわけではない。
最近ではえらいもので外さずにうまく開け閉めする術も身につけてしまい、ますます大家さんに文句を言い難い状態になっている。
もう4年住んでいるので今更「お風呂のドアが壊れてるんですけど」とか言い難い状態だ。「おまえが壊したんだろ」と言われかねない。

僕はそんなふうに見えているものを、見なかったことにしてやり過ごしていることがよくある。


お風呂関係が続いて申し訳ないが、シャンプーとリンスの詰め替え問題もその一つだ。

毎回お風呂に入ってから「あ、ない!」となる。
次入ったときに詰め替えようと思っていて、忘れる。
「また忘れた!」となる。けど、1回分くらいはあるので無理やり使って出る。
で、次忘れる。

このループで一週間近くやり過ごすと妻が入れ替えてくれている。
シャンプーには後半お湯を入れて使うが、最後の1日なんかにいたってはほぼお湯で髪を洗っている可能性が高い。

特に問題視していなかったのだが、この間妻に「絶対詰め替えしないよね」と結構マジなトーンで言われたので、この問題は彼女の中で積み重なっている不満の一つだったようだ。結婚してすぐの頃、共通で使っていた洗顔フォームの蓋をいつも半分開きかけのままにしている、と文句を言われたこともあったので、彼女の怒りのスイッチはこの方面で敏感に動作する可能性もある。いい加減学ぼう。結婚7年目である。

忘れている、というのもあるのだが、見なかったことにしているという部分もある。
その場がしのげればいい、という考えも根底にある気がする。

寒い時期に部屋着として羽織っているパーカーもそうだ。
基本それほど汚れるわけでもないし、と洗濯に出していなかったら或る日突然
「そのパーカーいつ洗うの?ずっと着てるでしょ」
と妻にこれまたマジのトーンで言われたので慌てて洗いに出した。
汗をかく時期でもないし、と思っていたのだが妻にとっては気になっていたようだ。
育ってきた環境が違うから、とセロリを歌いたいところだったが、妻のマジのトーンには名曲も通用せずだ。

メガネもそうだ。
部屋では基本メガネなのだが、テレビを見ていたら
「メガネ汚いよ。ホログラムみたいになってるよ」
と妻に言われた。ホログラムって、と思ったが外してみると確かに汚い。
すぐに拭いたが、言われるまで全然気にしていなかった。
ただ「なんか見え難いな」とは思っていた。それでも別にいいや、とそのままにしていたのだ。

いずれもやろうと思えば数分、いや下手したら数秒で終わるような事柄ばかりなのに、僕はやっていない。
正直言って僕は面倒くさがり、というわけではなく、どちらかというと何事も事前にばっちり準備していく方の人間だし、自分が快適に過ごすための、自分にとってメリットがあることに関しては努力を惜しまない方の人間だ。

それなのに、こんな一手間を惜しむ。
その心理がなんなのか、自分でもよくわからない。だけど、このほんのちょっとの手間がたまらなく嫌なのだ。
すごい心から「面倒臭い」と思う。
なんなんだろう。

普段から部屋の掃除はマメにしている。だけどパソコンについたホコリを拭こうという気にならない、みたいな。
線引きなんなの?と自分でも思う。


ただ、一つだけ言わせて欲しいのが、トイレットペーパーについては見て見ぬ振りをしていない、ということである。
まあ、物理的に見て見ぬふりができないというところもあるのだが。
「あ、紙がないな。じゃあ、今日はお尻拭かないでもいいか」
とそのまま出てくるわけにはいかない。

これについては7割くらい僕が補充している。
妻はほんとにあと数センチ残ってます、というところまで残していることが多く、ぱっと見残っているように見せて引き出すと「すっ」とすぐにきれはしみたいなのが手の中に残って芯が残る、というような状況に陥ることが非常に多い。
思わずトイレで「おいッ」と芯にブチ切れたことも一度や二度ではない。なぜ残す。この数センチをなぜ残す。それなら最初から芯だけにしといてくれた方がマシだ。
結局お尻丸出しのまま洗面所にトイレットペーパーを取りに行く、ということになる。自宅以外でやってたら逮捕だ。

ただ、妻にはまだ言っていない。
シャンプーとリンスのことを蒸し返されるに決まっているからだ。
僕は粛々とトイレットペーパーを補充し続けるのみである。