歌って踊る
娘がよく踊る。
正確には歌って踊る。
多かれ少なかれこどもにはよくあることだと思うのだけれど、息子には見られなかった現象である。
性格によるものなのか、あるいは女の子の方がダンスが好きなのか。
ちなみに歌も自分で作る。
歌と踊りを自分で作っているのである。
3歳のシンガーソングライター兼ダンサー。
ただ、正直何を歌っているのか全く聞き取れない。
3歳なので話せる言語も限られているわけだが、それでもある程度会話ができるようになったにも関わらず
自作ソングの歌詞だけはなぜか言葉になっていない。
もちろんその場で即興で歌うなんて芸当は、フリースタイルのラッパーでも無い限り大人だって言葉がすぐに出てくるものでは無いのだから、3歳の子供に求めるべくもないのだが
「あーうぇーおー、やーいーうーいーよー」
みたいな感じで危うい音程の前衛的な楽曲が量産されていく過程は親からすると楽しい。
しかも歌の最後だけ毎回違うことばでアドリブが入ってきて
「あーうぇーおー、ケーキを食べたよー、はい、おしまい」
とか
「あーうぇーおー、ぽんぽんになっちゃうよー、はい、おしまい」
などとそこだけ具体的な歌詞を入れてくれるし、必ず「はい、おしまい」と終わりであることを自分で申告してくれるのでわかりやすい。
なので、その瞬間にここぞとばかりに割れんばかりの拍手を浴びせ
「すごい!天才!最高!」
と、どうせ僕しか見ていないので娘をほめまくっている。
ここ最近はターンを覚えたのでよく回っている。
ターンできるようになったことがうれしいらしく
「回転してって言って」
と私に強要してくる。
なので言われるがまま「回転して」というとニコニコしながらくるっと回る。かわいいなおい。
ところがここのところ「パパちゃんも回転して」と言ってくるようになった。
なので私も回転している。
完全に娘のマリオネットである。
娘が回り、私も回る。
あと娘は「結婚する」ことをなぜか踊ることだと思っており、時々「パパちゃん結婚してー」と言ってくる。
それは手をつないで踊ることを指す。
なので、彼女の両手を取ってしばらく踊る。
踊るというか手をつないだままわちゃわちゃ動き回るだけなのだけど、やっぱり楽しい。