もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

ラップやろうぜ

趣味を持ちたい、と思う。

僕も好きなものはいろいろあるけど、
結局のところ一人でこねくりまわすことが多いので、
何か人とのつながりを持ちたいと思う。
だけど、本を読むだけだとなかなか人とつながらない。
音楽を聴くだけでも、ギターを弾くだけでも、
ましてユーチューブを見てるだけではなかなかつながっていかない。
世界はインターネットでこれだけつながっているのに、
僕の趣味はどこにもつながっていかずに自己完結してしまっている。

家庭と仕事の行き来だけになると、それ以外のコミュニティには属さなくても生活できてしまうので
特に不便を感じているわけではないのだけど、ふとそれ以外の居場所を欲しいと思った。

そんな思いが強くなって、昨年末くらいに高校時代の友人に連絡を取った。

ラップがやりたい、と思った。

33歳でラップ。
未経験者。
既婚。
2児の父。

OKOK。
言いたいことはよくわかる。僕も同じだ。
字面がやばいことは重々承知なのだけど、やりたいと思った。

それはちょうど社会人合唱団とか、アカペラサークルとか、ゴスペルを習いに行くとか、
そんな感じに捉えてもらえるといいと思う。
集団で歌う、という点で考えれば同じだ。

声をかけたのは高校時代の仲のよかった友人たちで、ラップ音楽が好きだった二人だ。
時々会う機会があったとはいえ、高校卒業からすでに15年以上。
突然届く「ラップやらない?」という怪しすぎるメールに意外にものってくれた。

中学・高校の頃に好きだったラップを、今の年齢だから自分たちで楽しめるようにできないかな、と思った。

そして、今日ようやく一回目の練習となった。
妻には無理を言って時間をもらった。僕は高校生に戻ったような気持ちで練習場所に向かった。
高校生以来の音楽スタジオに入って、この日のために子供達が寝た後にこっそり作った音源をiphoneから流す。
あらかじめ作ってきてもらった歌詞を音源に合わせて歌っていく。
はじめは恥ずかしさもあってうまく歌えなかったが、一度コツみたいなものをつかんでいくと、どんどん楽しくなってくる。
持参したレコーダーに吹き込んだ歌声をその場で聞いてみる。
「意外とよくない?」なんて言いながら「もう一度やってみよう」と提案したり
思いつかない歌詞をみんなで考えてみたり
リズムに追いつかずに後半がぐだぐだになって笑ったりした。

そんなことを繰り返しているだけであっという間に2時間が過ぎた。
楽しかった。

家に帰ると子供達が
「パパ、お友達と遊んできたんでしょ」
と迎えてくれた。
不思議な気持ちだった。子供が出来てから「友達と遊んでくる」という経験をしたことは、
もしかしたら初めてだったかもしれない。

まるで高校生になった戻ったみたいだった。なんでこんな楽しいことをやらなかったんだろう、とさえ思った。
「趣味:ラップ」
と言える中年になれるように続けてみたい。