もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

二度寝

二度寝を毎日している。

とは言え、私も会社員なので、寝坊をするわけにはいかない。
意図的にしているのだ。

これを「意図的二度寝」「二度寝プレイ」「擬似二度寝」などと自分では名付けようと思っている。
どれを使っても構わない。

これ、やっている人はきっと多いと思うのだけど、要は自分が本当に起きなくてはいけない時間よりもちょっとだけ早いタイミングでアラームが鳴るようにセットをしておく、という小技である。

私はだいたい30分ほど早めに設定しており、これをすることによって

「あ、アラーム鳴ってる!…ってまだあと30分あるんだった。もうちょっとだけ寝ようっと」

というあの「至福の二度寝感」が味わえる、今風に言うところのライフハック、私の世代で言うところの伊藤家、一般的に言うところのおばあちゃんの知恵袋というわけだ。

もちろん毎日のことなので最近ではアラームがなったところで

「はいはい、あと30分ね」

と特に深い感慨もなくアラームを瞬時に止めてまたすうっと眠りに戻る、というありがたみがまったくない使い方をしてしまっているので、二度寝プレイとしてはやや通用しなくなってきている部分はあるのだが。

また、この二度寝プレイになれることにより
「プレイを超えた本番二度寝
という恐ろしい事態も招きつつあり、これは例えば7時半に起きたい場合、アラームを7時にセットしておいて
「なんだ7時か、あと30分あるじゃないか…」
と眠りにつくと、なんとびっくり、その次の起きなくてはいけない7時半のアラームまで無意識に止めており、ついには
「8時過ぎてるけど」
と妻が寝室に来てくれるまで実にすやすやと眠ることができる、という夢の本番行為なのである。

あれほど本番行為は禁止だと書いてあるのに、どういうわけだかここ最近規制が緩くなりつつあるのかもしれない。

あと、二度寝と直接は関係ないのだが、私の住むマンションの隣の部屋を事務所として使用している会社があり、そこの社員の方がやたらと早く出勤してくるのだ。
それこそちょうどこの7時の二度寝プレイアラームが鳴るかならないかくらいの時間帯にはもう出勤しているようで、ここ最近風通しを良くするために開けている寝室の共用廊下側の窓からごそごそという人の気配が聞こえてくると
「もう出勤しているのか…それなのにまだ俺はベッドで寝ているなんて…」
という甘美な背徳感を感じつつまどろんでいる時間というのが、実になんとも言えない心地よさである。

そして私は今日も
「もうすぐ8時だけど」
という妻の声にビクッとなって起きて1日を始める。
その度に今日の目覚めは最悪だ、二度寝などせずに普通に起きよう、今日こそそうしよう、と思う。
二度寝は、麻薬である。