もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

出したい時に出ない

会社に行くのにリュックを使っているのだが、出したい時に、出したいものが見事に出ない。

特に毎日感じているのが家の鍵で、これがまあ、出ない。


朝会社に行く時鍵をかけようとするとき、リュックの横腹部分にあるチャックを開けて、そこから手を差し入れて中身をがさごそとやる。
手をいくらかき回しても、指が鍵らしき存在に当たらない。

そんなはずはないのだ。なぜなら私は会社用のリュックにほとんどものを入れていないからである。
財布、会社のIDカード、メガネケース、電車で読む用の文庫本、ipod、そして家の鍵ぐらいしか入っていない。
今持ち物書き出してて思ったが、持ち歩いているものが大学生のときとほとんど変わってない。
いや、大学生の時の方がテキストとかレポートとか持ち歩いてた分、まだちゃんとしてる感じがあった。

社会人も10年目になるといろいろ緩み、だらけ、いろいろとなめきっているのでもはや「重いから」という理由で手帳は会社におきっぱなしだし、
名刺入れも「使うとわかっているときだけ持ち歩けばいいや」とデスクの引き出しに入っている。
仕事に直結するものはほとんど持ち歩かないのに、長い通勤時間をやり過ごすために必要な音楽と本は持ち歩く。実に最高だ。

そんな決していい意味ではなくなし崩し的に通勤用カバンについてのみミニマリストになっている私だが、そこまでリュックの中身を極限までそぎ落としていても
私の指は鍵に当たらないのだ。

結局明るいところまで移動して中身をよく見てみたり、一度中身を全部出してみたこともあった。
文庫本の間に挟まれていたり、なんかリュックのポケットの裏側のベロみたいなとことに潜んでいたり、その時々に鍵は隠れ場所を巧みに使い分けるのだが
「お前、こんなところにいたのか…」
的な展開が多く、鍵との追いかけっこに疲弊した私は、結局家を出る時鍵を持って玄関に行くことにした。最初からそうすればよかったのだ。これに気がつくのに半年以上かかった。

とはいえ、帰宅時に会社から鍵を持って来るわけにはいかない。
必然的に玄関についてからリュックの中をがさごそするわけだが、これがもう破滅的に見つからない。
おまけに朝と違って1日働いて疲れているし、外は暗くて中が余計に見えにくいしでストレス度合いはMAXである。

時間帯的に妻と子供達は確実に寝ているとわかっていても、早く家に入りたいのと鍵が出てこないイライラで衝動的に
「あけろーッ!」
とドアをどんどん叩きたくなる衝動に駆られる。

キーケースがいけないのだろうか。
私の使っているキーケースは革製の非常にシンプルなもので、最大6本までの鍵をかけられるフックが付いており、それを2箇所のスナップボタンでまとめられるようになっているつくりだ。
そこに目印としてすでに卒業してしまったが、乃木坂46で私が一番好きだった「まいまい」こと深川麻衣のキーホルダーが付けられている。

特に夜、「出ない出ない出ない!」となっているなか、指が彼女のキーホルダーに当たった時の感触は一時の癒しであり
鍵束を引き抜いたときに対面する彼女の笑顔には何度となく救われてきたと言っても過言ではない。このキーホルダーの効果は大きい。

リュックを変えればいいのでは、という考えもあるのだが、幾度となく通勤用の鞄を試してきた結果、鍵が出てこないことを除けばその他については概ね満足出来るリュックをようやく探せた、という思いがあるだけに、変えたくないのである。

本当に、鍵さえ出したい時に出てくれればいいのに。