もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

ジム

今行っているジムがかなり汚い。

古いのでマシンがきしむし、手入れもされていない。
いつも混んでいて、その9割がオーバー70では?と思えるほどの高齢化。
ジムというより老人ホームの健康ルームみたいな感じなのだ。
汗臭さよりも加齢臭、それ以上に匂い立つ湿布のにおいと立ち込める龍角散の香り。

入会して早数年。
これまでずっと我慢してきたが、つい先日、ランニングマシンで走りながらふと顔を上げた際
自分の前後左右が全て白髪、もしくは禿頭の老人たちで、走るというより歩く、それもリハビリか、というほどの
スピードでよちよちと歩く様子に気が付いた時、僕の中の何かが折れた。

ここではない、どこかへ
ここにいると自分の元気とか健康とか、その他もろもろのフィジカル的要素が彼らに全て吸収されていくような気がしたのである。


思い立ったが吉日。僕はその足で近所の別のジムへと向かった。
つい最近、24時間営業の新しいジムが開店したことはわかっていたのだが面倒臭がって同じところへ通い続けていたのである。

新しいジムは自宅から歩いて6分程度だった。今のジムが歩いて約5分。ほとんど変わらない。
近くまで行くと開店したばかりのピカピカの店構え、全面ガラス張りで外から見える中の様子は今のジムとはまったく違う世界だった。
僕の同年代くらいの人たちが猛スピードでランニングマシンを走っている。今のジムは地下なので窓は無く、なんと無くいつも薄暗く、雰囲気が重い。ここじゃん。最初からここ来てればよかったんじゃん。

これでもう小さなストレッチスペースを占拠するババアの集団にも悩まされない。
やたらと長い時間をかけてマシンを使用する汗ビッチョリのジジイを気にしなくてもいい。
早朝のゴルフ場か、と言いたくなるようなシャワールームで中年に紛れてドライヤーを使わなくてよい。

もう一度僕はジムで健康を手にいれるのだ。