ストロングゼロ文学
最近会社帰りに近所のファミマに寄って帰っている。
買うのは決まってストロングゼロだ。
巷で話題の 街で噂の ストロングゼロ。
俺たちの味方 ストロングゼロである。
長男は未だにファミマをうまく発音できず
「ハミマ」と言う。
かわいいので別にいい。
そんなハミマに寄って、僕はストロングゼロを買う。
最近レジにいるのは中東系の女性だ。
レジ打ちは早く正確で、行列を捌く観察眼を持ち、流暢な日本語を使いこなす。
完璧なハミマ店員である。
僕が会社帰りに立ち寄る時間帯と、彼女のシフトはドンピシャのようで、僕はここ最近ずっと彼女からストロングゼロを買っている。
もちろん行列は強制的に一列になっているので、僕が選んで彼女のレジに行くわけでは無い。
どういうわけだかいつの間にか、彼女のレジの前にいるのだ。
伏し目がちに「タッチオネガイシマス」と言われ、僕は「20歳以上ですか?」と表示されたレジのタッチパネル「はい」に触れる。
「30歳以上ですか?」のタッチパネルも心の中で「はい」と触れる。
彼女の手がストロングゼロドライ、ストロングゼロレモン、ストロングゼログレープフルーツ、じゃがりこ、あたりめ、ポテトチップスのりしおの順番で
ジャストサイズのレジ袋に品物を納めていく。
完璧だ。
僕は表示された金額を財布から抜き出す。
彼女が無造作に散らばる小銭を軽やかに拾い上げる。
レジに打ち込む指。
つり銭50円とレシート。
流れるような動作と隙の無い対応。無駄の無い接客。プロの店員。プロの客。
僕たちはそこで別れる。
また次のストロングゼロを手にする時まで。