もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

あなたが老害を覗き込む時老害もまたあなたを覗き込んでいる

■近所になんでもDIYしているジジイがいるのだが、そのジジイが最近よく家の周りで見かける毛並みのいい黒猫といちゃいちゃしてた。嫉妬した。

 

「今日は過ごしやすいな」

「うにゃうにゃん」

「おう。毛が暑そうだな」

「にゃうにゃう」

「へへ、そうか」

「にゃうーん」

 

みたいな感じでずっと会話(実際に声が出ている)していて、猫は20歳過ぎると人の言葉を喋るようになると聞くが、ジジイも極めると猫をナンパできるようになるらしい。羨ましい。俺も人間はもう諦めたので、猫がナンパできるようになりたい。茶トラでやや太めの猫を狙っている。

 

■一個年下の後輩は顔もスタイルもよく、小さなことにはこだわらない明るい性格の男なのだが、一緒にメシを食いに言ったら後頭部にちらほら白髪が混じっていてマジかと思った。そいつは服屋に行くと同じ服を3着出してもらって試着し、その中の1着を買う、という買い方をしているというくらい見た目にこだわるような、どっちかというと神経質、やや潔癖よりの人間だと思っていたからだ。

「引かないでくださいよ。だって同じ店の同じサイズの服でも3着比べると袖丈とか違いますからね」

引くよ。同じの3つも出させんなよ。店員さん大変だろ。てか、袖丈気にしてて白髪気がつかない?

とも思ったが、頭の後ろは自分ではなかなか見れない。その時そいつには彼女がいなかったから「白髪生えてるよ!」と言ってくれる人がいなかったんだろう。そして俺はといえば、なんとなくそいつに「お前、袖丈っていうか白髪抜けよ」とは言えなかった。

そいつはいつも俺を昼飯に誘うときは大抵何らかの悩み事を抱えていて、その悩み事というのは9割型今付き合ってる彼女のことだったからこいつ俺のことを恋愛マスターかなんかと勘違いしてるのかと思っていたが何のことはなくて、ただ単に自分の一方的に話すことを聞いてほしいだけのタイプの奴だったので基本相手が話している間は聞き役に徹するタイプの俺が一番話しやすかっただけのようだ。都合のいい男。


「…というわけなんですよー。マジなんでなんすかねー」

「うんうん、まあ、アレだよね。相手もさ」

「そうっすねー。ただ俺は…」


ってな感じでまた話は無限ループ。

聞いちゃいないのである。当初は何度か手元の箸をそいつのよく動く喉仏に突き立ててやりたい衝動に駆られたものの、どうにも憎めない奴だったので根気よく繰り言に付き合ったものだ。


そんな彼が先日結婚した。

散々付き合ったり別れたりを聞いてきた俺からすれば「本当に大丈夫だな?相手はお前のかなり保守的で前時代的な亭主関白観に同意、もしくは100%反対しているがおまえの方がそれを受け入れる覚悟をしたんだな?」と意思確認したいところだったが面倒臭いので「おめでとう」とだけ言った。

彼の白髪は結婚してから無くなった。

気が付いてくれる人が出来てよかったね。

 

 

■今朝通勤に使う電車の中で、隣の座席に座ってきたジジイがハチャメチャににんにく臭かった。生でかじってんの?ねえ、今ガムみたいにクチャクチャ噛んでんの?って聞きたくなるくらい臭かった。

時々朝から猛烈ににんにく臭い人がいる。

彼らはみんな通販で売ってるにんにく卵黄を飲んでるから臭いんだと俺は踏んでいる。カプセルに入れようがあの匂いは防げないのだ。諦めてほしい。だから朝からにんにく飲むんじゃねえよ。くせえから。せめて俺の近くに来ないでくれ。朝から元気モリモリなお前のせいで俺は元気吸い取られてんだよ。

 

Amazonの欲しいものリストにいろんなものをとりあえず放り込むじゃないですか。

で、そのまま何ヶ月も経つわけですよ。そうすると何度もその間Amazonを開くじゃないですか。何度もほしい物リストを見るじゃないですか。ますます欲しくなりますよね。そういうためのシステムであってAmazonはまさしくそうなってほしいからこんな便利なシステムを構築してくれてるわけなんですけど、なかなか辛いですよね。困るんですよこういうことされると。こっちはお金なんかないんですからね?Amazonとか言っちゃってアマゾンじゃないでしょ都会にあるんでしょ?ジャングルから運んでるんですか。そうこうしているうちに数ヶ月経過。肝臓を悪くした俺が検査と診察を受けたらあっという間に2万が飛んだ。1万ちょっとのバッグを買おうかどうか、半年近く悩んでるの馬鹿らしくなって衝動的にほしい物リストから注文ボタンを押した。いつ死ぬかわからないと思ったし金残しても死んだら使えないから。

別に破滅的に生きるつもりもないんですけどなんかこの数週間に起きたそういう一連の流れ、なんていうか、「人生」って感じがした。