もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

ミラノサンドB

同じ年齢の男と比べるとほんの少しだけ病院に行く機会が多い。身体のあちこちの不調が多く怪我や病気などをよくしている。産まれながらに障害を抱えていて、とかではないので俺程度の人間がこのことをどうこう言うのは本当に憚られるのだけど、それでもやっぱり、ああ、なんでだろうなと思う。今日も先月から続くみぞおちから背中にかけての鈍痛がおさまるどころかどんどん酷くなって耐えきれなくなってきたので午前半休を取って近所の病院に行った。子供の頃から通っていた内科の人の良さそうな院長はまだまだ元気で、ついてない俺にとってはそれだけでもついてる出来事だった。待たされる時間が長い分説明も聞き取りもしっかりした診察で、会社の近くの会社員の昼休み中の診察に慣れ切った都会のビルの中のサラリーマン医者と精密検査でしか訪れないような大病院のどちらかでしか診察を長いこと受けていなかった俺からすると、それだけで少し痛みや不安が和らぐ気持ちがあり、医療と言うのは結局のところ誰に診てもらうかに尽きるんじゃないかとさえ思った。もちろん小さな診療所なので大掛かりな検査機器もなく、今やれる限りのことでわかる診断を下してくれた。血液を取り、結果が出る来週に再度行くことになった。病院帰りの俺は必ずドトールに行ってミラノサンドを食う。去年肝臓の数値で健康診断に引っかかって精密検査を受けた時も検査を受けた病院の一階に入っていたドトールミラノサンドを食べた。検査を受けた日に食べたミラノサンドと異常なしと結果が出た日に食べたミラノサンド。今日はまだ結果がわからない状態で食べるミラノサンド。地元のドトールではyoutuberみたいな見た目の若い男の子がカウンターの中で薄いポリエチレン手袋をはめて黙々とミラノサンドを作っていた。見た目に反して中身の具もパンもしっかり整った出来上がりで、当たりのバイトだったなラッキーと思った。ぐちゃぐちゃでスカスカのミラノサンドを出してくるバイトもいて、ドトールって調理マニュアル廃止して各店の裁量に任せてるんじゃないかと一時期本気で思っていた。午前中のドトールは年寄りばかりで、俺の目の前の老人カップルはどうやら夫婦では無いらしい。女の方が男に向かって「都立落ちやがった。バカだから」と孫のことをボロクソに言っていた。世の中は残酷だ。俺たちはいつだって一人で生きていかなければいけない。俺も。君も。