もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

時は経つし役割は変わる

としまえんだったか、おばけの格好したスタッフが水をぶっかけてくるのでちゃっちい水鉄砲でそれに対抗してね、みたいな夏休み向けのイベントを今やってますよみたいな話題を夕方にニュースで見た。貧相な体の若い女のグループが取材されており水着のままおばけの格好のスタッフ(どう見ても男)にホースとかバケツで水をぶっかけられててきゃあきゃあ言っててこれなんの性のメタファー?って思いながら俺はジムで走りながらその画面を見てた。てか地面とかメチャクチャ濡れてんのに平気で走り回ってるし子供の頃「プールサイドは走っちゃいけません」ってあれだけ教えられてたのに今はいい年こいた大人が濡れたプールサイドを走り回って遊んでいいそうです。水を差すようで申し訳ありませんが、これ下が滑ったりして転倒の危険性とかはないんですかね?あ、水の話題だけに水を差してね、とかスタジオにいるおじさんとかおばさんが言うかなと思ってたけど別に何も言わなかった。興味なかったんだろうな。今俺は頭がどうかしているので、ちょっと前なら考えられないようなことを平気でするようになった。この間エレベーターでたまたま一緒に乗り合わせた以前同じ部署で働いていた先輩が随分と意気消沈した様子だったので「どうしました?」とわざわざ声をかけて「今度飲みにいきましょうよ」とせいぜい誘うところを「今日このあと空いてます?」などと言い出して結果的に16時に会社を早めに上がってそのまま新宿に飲みに行った。外は暑く、明るく、世の中のひとはみんな働いていた。新宿の雑居ビルの中の安い居酒屋は16時過ぎでもう半分以上席は埋まっているしおまけに大抵の客はほとんど出来上がっていた。酒を飲み話を聞く。ありきたりのどこにでも転がっている話題が続く。嫁との関係が、子供の成長が、もう俺は愛情を持てないのか、これ以上関係は続けられないのか、生きるって大変だななどなど。俺からすれば何年か前に通り過ぎた話題たちだったので、そんなものはどうせいつの間にか気にも留めなくなることを経験則で知ってはいるが、年下にそんなことを言われても面白くないだろうからひたすら聞いてうなずいて同意した。だってそうじゃん。相談とかって。みんな最近そう言うようになったけど。結局聞いて欲しいだけだし、おじさんなんてどんどん話聞いてくれる人いなくなるだけなんだから。せめておじさん同士は話聞こうよ。話聞けないおじさんにだけはなるまいって思ってるんだけど、まあ時と場合と人によるよねそんなもん。一通り核心っぽい話が終わったので、俺とその人が共通で嫌いな奴の話題にそれとなくシフトさせて思い切りそいつのことを思い切り罵倒してやったら先輩も少し笑うようになってくれた。悪口は気にせず思い切りやり切った方がいい。有吉から俺はそれを学んだ。言い淀んだり一瞬でも言葉の切っ先が鈍ると面白くない。大体悪口を言おうとした時点でレベルのチューニングをしようがしまいが悪口を言った事実は変わらないんだから叩きのめすくらいまで言い切らないとそれはそれで悪口の対象に失礼ですよね。先輩と雑居ビルから出てもまだ19時前で当たり前のように外は明るく、何も解決してないんだけど先輩は少し元気になったように見えたのでまあよかった。入社してすぐの頃、本当に辛くて誰にも相談出来なかった時その先輩は俺を飲みに誘ってくれて色々と話を聞いてくれたことがあった。恩返しというのもおこがましいが、何年か経つと役割も変わるものだなと不思議に思った。