もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

マクドナルド

昼飯は一人で会社を抜け出してマクドナルドへ行く。

ここには俺とよく似た、社会から孤立した社会人の中年男がたくさんいる。

匿名性の中に身を委ねて餌のような合成肉を食っていると、無感情になり、思考が限りなく透明に近づいていく。

平日の昼間、マクドナルドには老人たちも多い。信じられないほど何度も大量の消毒液を吹きつけてはナプキンを束で使ってテーブルを擦ってから使う老婆。そこまで嫌なら外食などしなければよい。ただでさえお前らの年金やら医療費やらその他諸々をささえるために給料の三分の一近く国に引かれてるからこんなところでしか飯が食えない俺たちとお前らは違う。小金溜め込んでるババアは金を使えよ。こすい飯食ってんじゃねえよ。

今度は薄汚れたジャンパーを着込んだ双子コーデと見まごうばかりの野球帽を被った老人二人組だ。俺の隣の席に座るや否やコーヒーとアップルパイを嬉しそうに頬張りながらマスクを取って大声で楽しそうに話し始めた。

俺はすぐに立ち上がり離れた席に移動する。

若い女は一人で黙々と何やら資格試験の勉強をし、老人たちが大声で話しては笑い声を響かせる店内。今日も老人の車が暴走し人の命を奪った。人殺しになってまで生き長らえたいその傲慢さは本当にお前らが戦時中に望んでたことなのか?俺たちはマクドナルドで昼に静かに飯を食う自由さえ老人たちに奪われている。お願いだ。年寄りどもこれ以上日本を痛めつけないでくれ、これ以上日本人を傷つけないでくれ。

悲しみ

頑張っていた頃の自分の書いた文章や画像を見るとまだ駄目だな。今の自分と比較してしまい気分が一気に落ち込んでしまう。あれだけ頑張っていたのに、せっかくここまで頑張ったのに、という感情が一瞬で溢れてくる。頑張っていた自分を今の俺はぼうっと見ていることしか出来ない。

昨日の夜就寝前に抗うつ薬を飲んだ。

 

副作用の吐き気はそれほどでもないものの、胃はずっとムカムカする。

 

そして夢を見た。

歯が全部抜ける夢。

歯というか、鼻くっついた歯茎ごと入れ歯みたいに取れてしまう夢だった。

めちゃくちゃリアルな入れ歯。

悪魔だ。

 

今日も悪夢を見るのだろうか。

仕事

この時間まで仕事をしてしまった。

こんなに仕事をしてはいけない。

自分で恐る恐る仕事をしている。

調子に乗ってアクセルを踏みすぎるとどこかで俺はどうにかなってしまう。

しかし、会社に行けば、普通の人なように振る舞ってしまう。

俺のことを普通ではないと知っているはずの上司が、涼しい顔で仕事を次々依頼してくる。

こいつ、サイコパスなのか?

狂ってるのは俺じゃ無くて、こいつなんじゃないのか?

こんなことを繰り返していたらほんの少しだけ休んで落ち着いた俺の精神はあっという間に壊れてしまう。

 

今日から抗うつ薬を飲む。

怖くて処方されてからずっと飲めなかった。これ以上は後送りにできない。

飲んだら俺は俺でなくなってしまうのではないか。飲んだら、もう今までの俺には戻れないのではないか。

怖い。誰か。

選挙

選挙に行った。

友人に会った。

家族と外食した。

 

きちんとやるべきこともやったし、自分のやりたいことも、家族と時間を過ごすことも出来た。

 

「普通」の人みたいに過ごしているが、

もう普通じゃないのに普通の人のふりをしているような気持ちになる。

 

いつかもっと大きな反動が来るのだろうか。

いとこ

コロナ感染者数も減少し、緊急事態も明けたこともあり、姉、姉の旦那、子供たちにとってのいとこ達が他県より遊びに来た。

 

会うのは実に3年ぶりくらい。

いとこたちはすっかり大きくなっていた。他人の子供の成長は早い。向こうも同じことを思ったようだ。

 

姉の旦那さんは今年の夏に転職をしたという。

そもそもよい企業に勤めていたのでびっくりした。年齢だって俺より上。年収だって相当よかっただろうし、正直このコロナ禍の中、勇気あるなあと素直に感心。こんな会社で勝手に心を病んで管理職にさえなれなかった俺からすると、そのハートの強さが少し受け入れ難いほどだが、今日は頑張って話をした。疲れた。子供たちは久々に会えたいとこ達と遊べて嬉しかったようだ。

 

仕事の介在しない関係性は大人になるとほとんどないので、そういう意味では俺も楽に話せたのかもしれない。

こども

心の病気になったら子供のことまで付き合う余裕がなくなった。

 

リミッターが完全に外れる基準が低くなっている。

 

例えば子供二人を連れてショッピングセンターに行く。ゲームセンターで遊ばせたりする。

UFOキャッチャーで何も取れず機嫌の悪くなった娘を、他の人がいる前で怒鳴ってしまった。

 

今までなら我慢してなだめていたところだが、全くそれが出来ない。

普通なように見えて、今まで通りのように見えてだめだ。

虐待のニュースが頭をよぎる。俺は予備軍なのか。ニュースで見た、逮捕された親たちに病歴はなかったのか。病気があれば許されるわけではないが、親にもなんらかの事情と理由があったのではないか。

 

俺も子供もまだあと何十年も生きなくてはならない。

焦ってはいけない。自分に言い聞かせる。

人間ドック

会社を休んで人間ドックに来た。

たった一年で5キロ太っていたことがわかる。

怖くてこの一年間ロクに体重計にも乗らなかったからだ。今日から気合い入れてダイエットしよう。

 

俺の受けているドックの病院は食事券二千円分をくれるのでそれを使って近くの提携ホテルに入ってるレストランで普段だったら買えないような豪華なランチを奮発した。

何万円もするコースのある中華料理店でアラカルトから五目つゆそばと春巻きを頼んだ。上手い。具が多い。

今日で贅沢は最後だから、と自分に言い聞かせて食べる。お腹いっぱい。

 

外に出ると空が綺麗に晴れて澄み切っている。

それを見ているとまるで自分が正常になったような気がするが、きっと気のせいなのだろう。