もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

唐揚げ

生活が落ち着いたら、この仕事がひと段落したら、子供の手がかからなくなったら。


何かを始めないことへの言い訳というのは恐ろしいほど簡単に
たくさんあっという間に思いついてしまう。


でも、何かを実際に始めたことは、驚くほど少ない。
ほとんどないと言ってもいい。


最近ではむしろ始めないことに快感を見出し始めているのではないかと疑いたくなるほどだ。


なんでもないことをなんでもないように楽しんでいる人がいる。
つらいことを淡々と受け入れる人がいる。


俺たちに等しく分配された人生の時間をどのように過ごそうと自由なはずで
俺はそんな自由を与えられている国に生きているのに、
そして自分の意志さえあればできるはずなのにやらない。
いつまでもソファに縛り付けられたまま動き出せないでいる。


今日は娘と二人で近所のショッピングモールに行った。
サンリオショップがあって、そこでピンボールのゲームをやった。
クロミちゃんの場所にビー玉が入って、おかしのつめあわせをもらった。
娘は、サンリオのキャラクターの中で自分はクロミちゃんが好きだからよかった、と言った。
行きも帰りも雨だった。娘の足が濡れて、風邪を引かないように早く帰らなければいけない、と思いながら家路を急いだ。


人間ドックの検診キットが届いて、もう一年経ったと思って憂鬱になった。
妻が唐揚げをきちんと揚げてくれて、揚げたての唐揚げが食べられてとてもいい気分になった。
唐揚げの作り方で数ヶ月前に炎上していたことを、食器洗いをして、油の処理をしようとしたときに思い出した。
あんなに騒いでいたのに、それまですっかり忘れていた。俺たちはなんでもすぐに忘れてしまうし、慣れてしまう。
恐ろしいことも、大変なことも飲み込んでまるでなかったことにしてしまう。

唐揚げを作るのは大変だし、油の後処理は大変だ。
唐揚げ簡単でしょジジイが死んで、俺たちがあの炎上騒ぎを忘れても、それは変わらない。