もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

父と息子

テレワーク。
昼休みの時間を前後にほんの少しずつ長く取って家のすぐそばにある
24時間営業のジムへ行く。

平日昼前のジムには誰もいない。
ほぼ貸切状態の事務でNetflixの韓国ドラマ「未成年裁判」を見ながら
無心にマシンのペダルを漕ぐ。

キム・ヘスという女優さんは日本でもリメイクされた「シグナル」というドラマで最初に見た女優さんで、年齢不詳というか、実年齢よりかなりお若く見える女優さん。
弛まぬお顔のメンテナンスの賜物という感じ。俺はこのドラマとシグナルしか知らないので、またこの人過去のある笑わない強い女やってんな、と思った。日本だと誰だろう。篠原涼子、天海祐季。シグナルのリメイク版では吉瀬美智子だった。顔はあ〜という感じ。

家に戻ってうどんを作る。
冷凍してあるしめじとえのき、油揚げを入れて、残っていた白だし、ごま、刻んだネギを入れて麺を入れて煮るだけ。
今日は冬に戻った様に寒かったので、この煮込みうどん風の何かがやけにうまく感じた。

仕事をするふりをして、子供が帰ってくるのを迎える。
娘は仕事中の俺に構わず話しかけてきて、息子はただいまも言わずにタブレットで動画を見始める。二歳違うだけでも、子供の成長具合は変わってくる。自分も小学校の高学年頃から父親と話すのが億劫で、さっさと食事を済ませると自分の部屋に戻って好きなことをやっていたのを思い出した。俺は父親が自分に関心をあまり持たず、ゴルフだの麻雀だのと自分の好きな趣味にばかり出かけていた記憶しかないが、そもそも俺が父親との接点を持たない様にし始めた時期と、父親が自分の趣味の時間を持ち始めて時期は一致していたのではなかったか。

ここ最近息子と話をしたり、一緒に出かける時間が減っている。
出かける時は娘とばかりで、俺はどうせこんなことができるのも今だけとばかり、娘と二人で「デート」と称してあちこちへ出かけたりしている。妻には冗談めかして「これがほんとのパパ活ってね」などとクソみたいな冗談を言っているが、それについて息子がどのように見ているのかは、正直なところ見ていないふりをしている。彼も俺にどこかに連れて行ってほしいと思っているのかもしれないが、なんとなく今はお互い自分の時間の方を優先させている。

そういえば、ここ最近は友達と遊びに行ってくれたり、家にいるときも子供たちだけで時間がだいぶ潰せる様になってきたため、俺は自分の好きなことをやるようになってきた。
文章を書いたり、PCで音楽を作ったり、学生の頃、子供が生まれる前までやっていたようなことだ。息子が大人になったとき、「親父は俺のことには関心を向けずに、自分の趣味ばかりやっていた」と思う日が来るのだろうか。こんなふうに父親に対する感情は、息子との間でいつもうまくいかずに空回りし、どこまでも噛み合わないままずれていく。