もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

人を見た目で判断していた話

こんにちは、hanadekameganetです。


先日仕事の都合で表参道に行ってたんですね。


表参道にオフィスを構えているようなオシャレな会社さんだったので僕なりに気合を入れまして


一張羅のジャケットなんかを着まして


決して都会の人達になめられないように肩で風を切るように歩いてたんですね、なで肩で。若干風を切るっていうか空振ってた気がしなくもないですが。




で、表参道駅前のでっかい交差点のところで信号待ってたわけですね。


そしたら目の前にイケイケのお兄さんが立ってたわけです。


髪型がなんて言うんですか、あのちょっとアシンメトリーな感じの。


耳にもゴツめのピアスがゴロゴロと具沢山カレーみたいな感じでINされていて


あれ、もしかしてリンゴとハチミツも入ってる?とヒデキもバーモントな感じで脳裏をかすめ


服があの、なんていうんですか。おまたのところがやや、ややというかかなりもったりと短くなっている


サルエルパンツっていうんですか、MCハマーでおなじみのあれでして


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※イメージ


なんか全体的に表参道を体現しているというか、言うなれば人生の表参道を歩んできたような男性が目の前に立ってたんですね。


なんか、ほのかにいい匂いするし。


で、表参道どころか裏街道を渡り歩いてきた僕としてはなんの理由もないんですけど、うしろから彼を見ていて


「表参道が似合いやがって。名前を『表参道 歩(おもてさんどう あゆむ)』に改名しろ!今すぐしろ!」


と勝手に憎しみを込めた視線で見ていたわけです。


で、そういう性根の腐ったことをしていると、お天道さまというのは見ているものですね。


「スミマセン!」


とどことなく異国のイントネーションを含む言葉がどこからともなく聞こえてきました。


ん?と思いつつもここは東京のど真ん中、表参道の交差点。


人なんて日本の人口の98%くらいがここに集中しているという情報もありますし(僕調べ)


まさか僕が声をかけられる確率なんて


「スミマセン!(さらにクリアな音質)」


YESYESYES!


そう!僕だよ!僕に話しかけてるんだよ!


泣き出しそうな顔で振り向きますと、若い女性。


こんなシチュエーションでなければもっと胸を弾ませながら振り向いたのでしょうが、彼女が見た僕の顔はきっと相当引きつっていたでしょう。


ここで声をかけられるということは、考えられるのは二つ。


一つ、何かの勧誘。


しかし女性の顔は曇り一つなく誠実そうです。


ということは考えられるのはあと一つ。


すなわち「道を教えて欲しい」です。


「はい…」


「ココカラ シンジュクエキハ ドウヤッテイキマスカ?」


新宿、とな。


完全に思考停止です。


てっきり表参道駅の場所でも聞かれるのかと想定しながら考えていたのに、新宿。


表参道から新宿まで歩くということ?歩き?


「えー…」


と言いながら交差点から見える道路標識という道路標識を指差し点検しながら考えるふりをしますが、頭の中では「絶対わかんないって!」と脳が両手でバッテンをしています。



「ワカラナイデスヨネ…」


と女性が落胆しかけ、僕が「やばい」と思いかけたその瞬間!


新宿駅はね、ちょっと難しいんですけど…」


と男性の声が。


ぱっと顔を上げるとなんと


さっきの表参道 歩(仮)が女性に話しかけているではありませんか!!


歩はここらの地理に詳しいのか、女性に身振り手振りも交えて道案内を始めました。


信号待ちをしている人の群れの中にもいっきに漂う安堵のムード。


つい数秒前まで自分の勝手な思い込みとクソほどにつまらない嫉妬心から悪態を心の中でついていた歩(仮)が、


実は自ら進んで道案内をするほどスマートでイケメンなさわやか好青年であることを知り


自らの小ささ、醜さを再認識するとともに


道案内一つまともにできないという情けなさに徹底的に打ちのめされた僕は


恥ずかしさのあまり軽く会釈だけして歩(仮)の方向をまともに向けずに身長を15センチほど縮こまらせて端っこに隠れ


信号が青になると同時に高速で駅に向かって逃走しました。


歩(仮)は前から見たら顔も普通にかっこよかった。都会の地理にも精通。聞かれたわけでもないのに自分から進んで道を教える行動力。異国の女性にも臆せず対せるコミュニケーション能力。


歩(仮)はやはり表参道が似合う、見た目だけの男ではなかったのです。


僕は思いました。やはり仕事だから仕方なかったとはいえ、表参道になんて、僕が来てはいけなかったのだ、と。


ということで明日からも裏街道の端っこを、下を向いて歩んで参ります。