もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

孤独のグルメ

最近昼飯は一人で会社2時間くらい抜け出して隣駅まで歩いてはよさげな飲食店に入って飯を食う、と言う行為を繰り返してる。いわゆる孤独のグルメだ。

 

今日入った町中華、なんてことなかったけどよかった。小汚い外装、期待を裏切らない内装、ジジイが厨房で飯を作りババアがオーダーを取って丼を置く。そうそう、こういうのでいいんだよこういうので。

 

先客は作業服の二人組と太ったスーツのおっさんのみ。いいねえ。

 

カウンターに座ってメニューをざっと見る。

ババアがすぐに水を置いてくれる。

特に愛想もいらないけど、こういう基本的なサービスを普通にすぐやってくれる店は基本的に信頼していらので、安パイなランチの定食を諦め、多分オリジナルメニューと思われる変わったラーメンをオーダー。

 

辛さが調整出来るらしく色々聞かれたがわからたいので全部に対して「普通で」と答えた。

 

待ってる間にババアが俺のもとにアイスコーヒーを置いてくる。昼は全てのメニューにアイスコーヒーを付けてるらしい。正直、今日は季節外れにクソ寒い上にコロナ対策で開け放たれた入口近くのカウンターに、間違えて半袖を着てきてしまった俺だけど、こういうサービスはありがたく受け取る。

 

五分程度待ってやってきたラーメンはそこそこ辛くてボリュームのある、これぞ町中華という感じ。何度か水をおかわりして完食すると、先程まで冷えていた体がいい感じに暖まり、自分のチョイスも捨てたもんじゃなかったと確信。

 

店を出ようと立ち上がると、無愛想に見えたババアが笑顔で「辛かった?」と聞いてくる。

「辛さは調節できるからね」と、ババアなかなかの人懐っこい顔。

「辛いもの食べると暖まるでしょ」と言うので

「今日みたいな寒い日はちょうどいいですね。美味しかったです」

と一丁前に社交性を発揮する俺。会社ではお荷物のうつ病社員のくせに、外では社会人気取りである。

 

外に出ると先程まで体を震わせていた冷気が火照った身体には逆に気持ち良く、俺は調子に乗ってセブンでアイスコーヒーを買って飲みながら会社に戻った。途中ですぐに身体は冷えて、戻るとすぐにトイレに入った。

子供なんか持つ金ねえよ

そうだよな、本当そうだよと思う。

 

頭の良い人、先が考えられる人ほど

子供を持つことの怖さと無謀さばかり見えて

とても今ある自分の人生を子育てという数十年がかりの一大プロジェクトに取り組む気になんてならないだろう。

 

自分が食うだけで精一杯なのか、

自分の遊ぶ金失ってまで子供作ることにメリット感じないなのか、度合いや程度に差はあれど、独身の人の気持ちはよくわかる。

時間も金も体力も精神も、すべて捧げてそれでも足りない。だってそういうものだもの。

 

頑張らなくていいんだよ。

的な風潮、論調もあるだろう。

そんな、介護じゃ無いんだから。

いや、介護だよ。

子育てって介護と似てるよ。ほとんどイコール。子育て終わる頃に今度は親の介護、本当自分の人生は人のお世話で終わるのかってよくある話。

昔学生の時女性の労働力は生涯で子育てと介護で2回時間取られるからM字型のカーブを描いている、って話聞かされて普通にふーんと思ってたほんの20年前の自分。

いや気づけよ、その地獄みたいなカーブの異常さに。なんで子育てと介護の2大イベント女だけのものになってんだよ。

 

俺は何も考えてなかった。本気でどうにかなるだろうと思っていた。どうにもならなかった。

 

共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上になったと聞いた。

夫婦が二人で働いて、それで家計を支えていくのが当たり前。

だけど夫婦間での家事と育児のバランス、性差による社会的な位置づけは歪なまま。

日本人が大好きな個々人の努力、忍耐、知恵と工夫で乗り切れと言わんばかりに子育て世帯は苦行の日々。自助。この国は実に美しい。美しい自己犠牲によって成立しているように見えている。

 

結婚しないの?

子供つくんないの?

 

そんなわかりやすいクソ発言をするゴミは目に見えるところからは消えた、ように見える。恐らく見えなくなっただけだけど。

既婚者、子持ちから独身へのそうした発言は一時期の苛烈なバッシングもあり消えたけど、一方で独身者が心の底からきっと思っている、悪気など一切ないのであろう「子供なんか持つ金ねえよ」「子供なんか絶対無理だわ」という発言とそれに賛同、共感する声に、そうした風潮に、怯え、疲弊してしまう俺がいる。

 

自分がよければいいだろ。

子供がいてほしいと思ったから、家族が欲しいと思ったから子供を作ったんだろ。

俺と妻の、俺たち夫婦のエゴだよ。それでいいじゃねえかよ。両親に強制された訳でも無い。

子供持つことにメリットとかデメリットとか考えんなよ。子供を作ったのは将来稼ぎのいい人間になって自分を楽させてほしかったからなのか?自分の老後の面倒を見させるためなのか?

違うだろ?自分の子供を何だと思ってんだよ。お前の子供であって、お前とは他人のひとりの人格じゃねえかよ。

小難しいこと考えんなよ、馬鹿なんだから。

 

俺の中でそう言う声がする。

わかっていても、日々の生活の中で俺の思考は何度もいったりきたりを繰り返す。

 

 

 

 

花束みたいな恋をした

映画を見た。

 

若い時って時間がたくさんあるのにどうして焦っちゃうんだろう、と思った。

 

菅田将暉演じる彼氏が二人で楽しく、ずっと暮らせるようにとやりたいこと諦めてやりたくもない仕事を始めたり

 

付き合い始めた頃の二人にとって忌むべき嘲笑の対象であった彼女の両親が言っていた言葉に捉われて仕事にのめり込んだり

 

その社会人2年目みたいな窮屈さが、呼吸が苦しくなるくらいわかってしまい、とても辛かった。

 

何から何まで好きなものがあてはまっていた二人にとって違っていたのは

 

好きなものを楽しむためには好きでもないことを我慢しないといけない、と思っていた男と

 

二人がよければずっと楽しく好きなものに触れていたいと思っていた女だったってことなんだろうと思った。

 

あまりにも好きで、好きなものが似過ぎていて、だからこそ決定的に違っている部分が見えるのに時間がかかってしまったんだな。

 

最後に馴染みのファミレスで向かい合って別れ話をしたときに

男がやっぱり別れたくない、恋愛感情が無くなっても夫婦になってる人たくさんいる、と言った時に

またそうやってハードル下げるの?と言う女。

 

一緒にいることが目的になっている男と、

それではもはや一緒にいる意味がなくなっている女。

 

どうしてこんな根本的な大事に思う部分が、最初にわからなかったんだろうと思ってしまう。

思ってしまうけど、最初にそんなこと気がついていたら二人は付き合ってもいなかったわけだから、二人は最初からこうなることが決まって長い時間を過ごしていたんだろうと思った。

 

昔の自分達を見るように、見知らぬ若いカップルの会話を聞くファミレスのラストシーン、

自分達が積み重ねた時間を思い出して耐えきれずに泣く二人。飛び出たファミレスがジョナサンで嬉しかった。

俺も妻と付き合ってた頃よくジョナサン行ってたから。

 

ちょっと思い出しただけもそうだったけど、

きっと誰にでもある大事な記憶のどこかに触れてくれるような映画だった。

何の意味も無い時間の積み重ねを、丁寧に、こうやって具体的に形にしてくれてとても嬉しかった。

 

 

 

ありがとう

スシボーイズとpkshampooとパソコン音楽クラブと小林私。

 

最近よく聞いているのはこの辺り。

自分とひと回り世代の違う人たちが本当にかっこよくて新しい音楽をやっているのが本当に嬉しくて楽しい。おじさん、お金出すから頑張ってね、という感じ。和山やまとか藤本タツキの漫画読んだ時もそう思ったし、芸人で言うと軍艦。うわ、そうだよねそういうの面白いよね、というのをソリッドにやってくれていて頼もしい。面白い、以上に嬉しかった。ある程度の年齢以上の人が創作を生業としようとしている人に必要以上にやさしいのは、自分が成し遂げられなかった、何者にもなれなかった化け物の成れの果ての自己満足なオナニー応援でもあるので、気持ち悪さはありつつも、こう言うオッサンを利用出来るところは利用してぜひ上手いこと残酷でエグい現代日本社会をサバイブしてほしい。軍艦の仁君がYouTubeにアップしてる楽曲はマジで俺の性癖に刺さるので普通にサブスク配信してくれ。面白いし曲も作れるし何なんだよ。ヤマトパンクスもGERAでラジオやってて面白いし、なんなんだよ。世代でくくるとダサいみたいにもうなってきてるけど、Z世代ですか?このあたりの人は。みんな才能豊かで、若くて、達観してる感じあって皮肉でもなんでもなく、本当に羨ましい。ぜひともやりたいことやりつくしてオッサン、ジジイ世代はっ倒してほしい。クソみたいな世の中でも才能は勝手に産まれていく。

才能ある人がきちんと才能を評価される社会でありますように。

俺は親になれば自分が何者かになれると思っていた。

はっきり言って、そうだと思う。

 

無理矢理親を演じ続けて、

病気になって演技も出来なくなって、

子供の前でも親ができなくなってしまった。

 

抑え込んでいたものがいっきにあふれ出し、

今はいつ栓をするか、蓋を閉じるか、自分でもわからない。

 

舐めていたんだと思う。

親になることも、子供を育てることも。

よい父親のふりをすることで、世間に自分が、立派な社会人、夫、父親であるとアピールして一人前の扱いをされたかっただけだ。

そんな男の自己満足に、俺の家族は付き合わされているのかと思うと本当に気が滅入る。

こんなもの、暴力自体は存在しなくても、最大級の侮辱であり虐待ではないか。

 

お前が一番どうしようもない

自分の息子を見ていて

いじめられないだろうか

と心配しているのは

自分が子供だったら息子のような同級生はいじめたくなる、ということだと気がついて

自分の性根のグロテスクさに吐き気がした。

 

父と息子

テレワーク。
昼休みの時間を前後にほんの少しずつ長く取って家のすぐそばにある
24時間営業のジムへ行く。

平日昼前のジムには誰もいない。
ほぼ貸切状態の事務でNetflixの韓国ドラマ「未成年裁判」を見ながら
無心にマシンのペダルを漕ぐ。

キム・ヘスという女優さんは日本でもリメイクされた「シグナル」というドラマで最初に見た女優さんで、年齢不詳というか、実年齢よりかなりお若く見える女優さん。
弛まぬお顔のメンテナンスの賜物という感じ。俺はこのドラマとシグナルしか知らないので、またこの人過去のある笑わない強い女やってんな、と思った。日本だと誰だろう。篠原涼子、天海祐季。シグナルのリメイク版では吉瀬美智子だった。顔はあ〜という感じ。

家に戻ってうどんを作る。
冷凍してあるしめじとえのき、油揚げを入れて、残っていた白だし、ごま、刻んだネギを入れて麺を入れて煮るだけ。
今日は冬に戻った様に寒かったので、この煮込みうどん風の何かがやけにうまく感じた。

仕事をするふりをして、子供が帰ってくるのを迎える。
娘は仕事中の俺に構わず話しかけてきて、息子はただいまも言わずにタブレットで動画を見始める。二歳違うだけでも、子供の成長具合は変わってくる。自分も小学校の高学年頃から父親と話すのが億劫で、さっさと食事を済ませると自分の部屋に戻って好きなことをやっていたのを思い出した。俺は父親が自分に関心をあまり持たず、ゴルフだの麻雀だのと自分の好きな趣味にばかり出かけていた記憶しかないが、そもそも俺が父親との接点を持たない様にし始めた時期と、父親が自分の趣味の時間を持ち始めて時期は一致していたのではなかったか。

ここ最近息子と話をしたり、一緒に出かける時間が減っている。
出かける時は娘とばかりで、俺はどうせこんなことができるのも今だけとばかり、娘と二人で「デート」と称してあちこちへ出かけたりしている。妻には冗談めかして「これがほんとのパパ活ってね」などとクソみたいな冗談を言っているが、それについて息子がどのように見ているのかは、正直なところ見ていないふりをしている。彼も俺にどこかに連れて行ってほしいと思っているのかもしれないが、なんとなく今はお互い自分の時間の方を優先させている。

そういえば、ここ最近は友達と遊びに行ってくれたり、家にいるときも子供たちだけで時間がだいぶ潰せる様になってきたため、俺は自分の好きなことをやるようになってきた。
文章を書いたり、PCで音楽を作ったり、学生の頃、子供が生まれる前までやっていたようなことだ。息子が大人になったとき、「親父は俺のことには関心を向けずに、自分の趣味ばかりやっていた」と思う日が来るのだろうか。こんなふうに父親に対する感情は、息子との間でいつもうまくいかずに空回りし、どこまでも噛み合わないままずれていく。

岩井

ハライチを好きになった。

前からずっとテレビで見ていてなんにも思っていなかったのに、
一度気になるとなんでも気になって、
出ている番組をチェックしたりラジオを聞いたり雑誌を買ったりするようになる。
有吉弘行にはまったときもこんな感じで、俺は急激に何かにはまっていく。

最近ではついに岩井さんの写真を美容院に持ち込み、
「同じ髪型にしてください」
と頼んでしまった。

俺は岩井勇気に憧れている。

精神科日記

サボりの記録をサボって1ヶ月半経ってしまった。もはや続きを書く気もしない。

 

俺は年末に人事と産業医と上司に直談判し、晴れて異動となった。管理系の部署で、定年後採用と障害者採用枠と新人と、俺のような心が壊れた経験のある人が集められている部署だった。

今まで営業部門のみを経験してきたので、こうした場所があること自体、たいして大きな会社でもないのに知らなかった。

会社というものが機能するために、いろんな仕組みを誰かがどこかで考えている。

 

精神科の医師にそのことを話すと

会社があなたが休めるように温情でそうしてくれたのだろう、それもあなたの人徳だ、と言った。

はっきり言って当初異動を希望した部署ではないので、俺は完全な左遷だな、と思った。

おそらくその気になれば30分で終わる仕事を1日かけてこなし、週4日テレワークを行う再雇用の男性社員に作業上わからないことがあったので質問しようと電話をすると、快活な声で応答した彼の声のうしろから、車の走行音と子供達の嬌声が回り込んできた。

人生は短い。彼の一度きりの人生のフィナーレ間近にうるさいことを言うつもりもない。世の中にはそういう場所がある、ということを俺が学んだに過ぎない。

障害者雇用枠の社員は視力が悪いので一日中黙ってパソコンに向かい続けている。会話もなく、最低限の挨拶もあやしい。悪い人ではないのだろうが、心を容易く人に見せるつもりはないのだろう。そういった意味では俺はあまりにも簡単に自分の心を剥き出しにして生きてきてしまったような気がする。取り繕っても丸見えな俺の心をやさしい人は見て見ぬふりをしたり、さりげなく目配せしてくれたが、利用しようとする人間やそれを簡単に踏み潰しても気にしない人間、そもそも俺の心が剥き出しであることに気がつかない人間たちに、少しづつ俺の心は削り取られていたのだろう。

 

精神科の医師は言った。

私は自分の好きなこと嫌いなことは絶対に言う。

なぜなら病気になりたくないから。

言わないで生きようとすると、自分を強く見せるために自分は凄いんだと自分に自分を洗脳するしかなくなる。

自分の感じたことを言葉にして論理を組み立て人に伝えること。

これがどれほど大事かを、私はあなたに伝えたかったんです。

 

言うことで俺は今まで起きることを恐れて生きてきた。

だから病気になった。

 

すぐには全てを伝えられないだろう。

性格や特性や、人間には種類がたくさんある。

その人にあった、病気にならないための方法を自分が見つけなければならないし、そこから先は残酷なようだが、結局は精神科医でも出来ないから、自分で何とかするしかない。

 

薬はさらに小さくなり、卒業の日を決めなくてはならないね、と医師は言った。

 

 

 

サボり日記 1日目

有給を取ってこれを書いている。

ここは浅草のドーミーイン。
初めてのサウナに入って俺は今多幸感に包まれている。

朝 精神科に行く。
ここ最近気分は安定していること、有給を取って映画でも見に行こうと思っていることを話す。

すると映画について食いついてくる。
どんな映画を見るか、ということは影響してくるらしい。
好きな映画を問われ思いつかず、「バックトゥザフューチャーとか好きです」というと
「あれは名作ですよね」と思わぬ賛同をもらい動揺してしまう。

そのまま銀座へ。
今日は銀座にあるシネスイッチという映画館で映画を観る予定なので、
銀座でランチを食べるつもりなのだ。

ところが食べようと思っていた「数寄屋バーグ」が定休日。
ネットで調べたら情報が古くて年中無休となっている。
コロナ以降変わったのだろう。

仕方ないので少し歩いて「石松亭」へ。
出版関係っぽい業界人が大将と昼間から常連トークしているところへ果敢に飛び込む俺。
海鮮丼を頼んで黙々と平らげて出る。

思ったより早く食べ終わってしまったので映画まで2時間以上暇になってしまった。
銀座などわからないので、とりあえず本屋を見ようと思い立ち調べると
GINZA SIXの中に蔦屋書店があることがわかったので移動。

GINZA SIXの圧倒的な「田舎者と貧乏人は入ってくんな」感。
入り口からして普通のショッピングモールみたいな透明ガラスの自動ドアではなく、中が見えないキンキラのフィルムみたいの貼ってありました。マジックミラー号じゃないんだから。

気にせず突撃。
店内中いい匂い。なんか高そうなものが置いてある、ということだけわかる。
高そうなものを尻目にひたすらエスカレーターを上る。
天井から雲のようなもくもくした形のモニュメントが吊るされていてかわいかった。

蔦屋書店について愕然とする。
ほとんどが建築かアート、デザイン関連の書籍。
うわー守備範囲外〜と思いつつも見ていくと興味が持てそうな本が結構あって面白くなり、
手に取ったり眺めたりするだけでなんやかんや1時間ほど時間を潰すことに成功。
なんかやっぱりリアル書店はこういうのがいいな。ネットではこうはいかない。
あと何より、自分がその場にいることでまるでセンスが良くなった様な気がして気持ちいいね。
他にいるお客さんたちみんなセンスがよさそうな服着たかっこいい人ばっかだったから、自分も
「俺、デザイン関係の、アレだから」
みたいな顔で本をパラパラとめくっていた。

そのあと地下2階にブルーボトルコーヒーがあることを知り、移動。
ホワイトとブルーを基調に統一されたおしゃれな店内。
カフェラテを頼むとカップ一杯になみなみと注がれたものをカウンターで渡され、ギャグみたいにそろそろと席まで運んだ。
向かいには金髪の白人女性二人組がベビーカーで赤ちゃんを連れてきて談笑。
俺の横には仕事をリタイアし、今は毎日悠々自適ですよ、と全身で語っている高そうな服装の夫婦らしき中年カップル。ああ、平日昼間の銀座には、こういう層が確実に存在している。俺がどれくらいぶりかに取ったなけなしの有給で得る体験が、この人たちには日常なのだ。

ちょっと苦めのカフェラテを飲みながら武田砂鉄の「コンプレックス文化論」を読む。
映画の時間が近づいてきたので移動。

シネスイッチ銀座で見たかったのは、ドランクドラゴン塚地武雅加賀まりこの「梅切らぬバカ」という映画。何十年も役の人生を重ねてきたように感じる演技。お二人ともさすがだなあと思った。
お話の方は90分くらいなので最後がちょっと急に終わった気はしたけど、全体的に見終わったあとは爽やかな気持ちになる映画。

映画館を出るともう15時半を過ぎていた。
悩んだが、一か八かで本日の宿である浅草に先に移動することにした。

行きたいお店が浅草に一箇所あり、そこに翌日行くとスケジュール的にちょっと厳しいと感じたのだ。

ホットケーキが有名な「ミモザ」という喫茶店

調べると、駅からめっちゃ歩く。
17時に店が閉まる。16時半にラストオーダー。
浅草駅に着いた時点でもう16時5分だった。
Googleマップ上で普通に歩いても15分かかるとある。
少しでも迷ったら終わりだ。
日が落ち始め薄暗い浅草の街を汗だくになって歩き回る俺。
駅を離れ、普通の住宅街に突入し、くねくね入り組んだ細い路地裏をいくつか曲がると、果たしてそれはあった。
すっかり暗くなってしまった路地裏で煌々と明るく灯るお店。
よかった。

閉店間際だというのに店内は8割型埋まっている。
カウンターに通されすぐに5段重ねのビッグホットケーキを頼もう、と思ったのだが
もうすぐ夕飯の時間なのに?とひよってしまい、普通のホットケーキに変更。情けない。
まもなく到着したホットケーキを食べながら、2段重ねにしたのは賢明だった、と思った。
あとでインスタを見ると若い女性も普通に5段重ねを食べていたりして尊敬してしまった。
みんなすごいよ。2枚でも相当お腹にたまったよ。

ホットケーキを食べて出ると、もう真っ暗。
すぐに夕飯を食べる気分にもならず、とりあえず先にチェックインすることにした。

部屋に入ってテレビをつけてベッドにとりあえず横になる。
スマホを開くと今日1日で15000歩歩いていた。そりゃ疲れるわ。

2時間ほど部屋で休み、19時過ぎにむくりと起き上がる。
腹は少しこなれてきていそうだ。
夕飯はもう近くで済まそう。
ホテルのすぐ近くにある「ぼたん」という町中華に行くことにした。
軽い気持ちで行ったのだが、人気のお店らしく、平日の19時過ぎにもかかわらずほぼ満員。
待たずに入れてよかった。予約のお客さんもあとからどんどん入ってくるしひっきりなしに注文が入る。
ホットケーキを食べてまだそれほど時間がたっていないののに目の前の厨房と、店内全体から発せられるお客さんたちの食欲に刺激を受けて半チャーハンとラーメンのセットに加え、餃子まで頼んでしまう。
特段目立ったところもないけど、孤独のグルメみたいに「そうそう、こういうのでいいんだよこういうので」とでも言いたくなるツボを押さえたラーメンとチャーハン。餃子はちょっと味が薄いきもしたけど、川の焼き具合をサイズ感がちょうどよくてあっという間に平らげてしまう。

腹ごなしに散歩。
バンダイ本社前に行き、下からライトアップされた不気味なアンパンマンドラえもんシナモロールの写真を撮って妻に送信。

駒形橋の上でスカイツリーアサヒビール本社ビルの金色のうんこを背後に自撮り。
LINEの返事には「留学生の方ですか?日本観光に来たんですか?」の文字。

ホテルに戻り、お待ちかねの風呂へ。
大阪に出張に行く時もドーミーインを取れる時は取っていた。
やはり部屋のユニットバスでシャワーを浴びるのと、人工でも大浴場で風呂に入るのとでは何かが決定的に違う。 

サウナ×水風呂を3セット。
作法を守らないと「通」の方に舌打ちでもされかねない、と
うつ病な上に臆病な俺はちゃんとネットで
「サウナ 初心者 入り方」と検索した。
サウナに6分、水風呂2分からまずは始めるのがよろしい、とあったので
その通りに実践。

水風呂に初めて肩まで入ったときは嘘だろ2分も入ってらんねえぞ、
と思ったが、不思議とチリチリと体の外側から炭酸が弾ける様な、
鳥肌が立つ様な感覚がしたかと思うと体の内側からじんわりと温まっていく様な感覚に。
繰り返すごとに体の温まり方が加速していくあの感じ。
3回目にはうなじのあたりのじんわり加減が熱を持ったようにかっかとしてきてなんとも気持ちがいい。

交互にサウナと水風呂を繰り返していくことで「ととのう」という状態になるという。
チェックインの際にホテルのフロントのお姉さんに渡された簡単な案内にも「ととのう」という言葉が書かれている。

正直なところ初体験だしトータルの時間も短いので「ととの」ったかどうかはわからない。
でも、生きてきて初めて味わう感覚だったのは確かだ。これは面白い。面白いし、気持ちいい。
サウナーと呼ばれる人たちがいるのもわかる。おじさんはサウナにはまるのもわかる。
なんだかちょっとした体調不良や疲労感というものはサウナと水風呂を繰り返すと心持ち軽くなる様な気もする。

サウナを出てから露天に移る。
平日ということもありもともと人も少ないせいか、露天には誰もいない。
12月の空気は体にしんしんと染みいる様に寒いが、湯船に入ると顔の部分に当たる空気がむしろ心地いい。
誰もいない空間で足を伸ばして壁側に体を預けて目を閉じる。
スピーカーから小さくリラクゼーション音楽が流れている。
うっすらと目を開けると遠くにクリスマスツリーみたいに光るスカイツリー
このまま寝たら気持ちいいだろうなと思う。

お風呂を出るとお風呂上がりのサービスとしてアイスを1本もらえるという。
俺の前に出たおじさんがごそごそとボックスを漁ってアイスキャンデーを選んでいた。
おじさんってこういうサービスなんてバカにして持ち帰らないのかと思ったらすごい嬉しそうだった。
俺もハーシーズのチョコが挟まっているアイスモナカをしっかりもらった。

23時まで提供している夜鳴きそばもしっかり食べる。
入るとお姉さんが1回ずつ麺を茹でて作ってくれる。なんだか申し訳ない。セルフかと思っていた。

抗うつ剤服用中は酒を飲んではいけないので、
コンビニで買い込んだオールフリーで一人で乾杯。