もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

あの日見た2ブロックを僕らはまだ知らない

■表記が雑な人は信用ならない。

 


それは例えばドラえもんをドラエモンと書いたり、さまぁ~ずをさまーずと書く人のことである。

 


それと、30過ぎて香水の匂いをプンプンさせてシルバーアクセ付けてる男と、髪型を2ブロックにして肌が浅黒い、ゴキブリみたいに黒光りする先っぽが尖った革靴を履いた営業マンも俺は信用していない。

偏見だ。だが、偏見の中に真実は存在する。有限の時間の中で俺たちに与えられた時間はほんのわずかだ。残り少ない時間を有意義に過ごすために偏見は存在する。

 


今日も俺は商談の中で営業マンの革靴をチェックすることを怠らない。それは俺を裏切らない。

例えば先日

「アイスブレイクはこれくらいにして」

と勝手に話し出したてめえの雑談を勝手に切り上げて本題に入り始めた営業がいたんっすわ。枕はこのへんにしてっててめーは落語家か。歌丸の爪の垢でも煎じて飲んどけ。R.I.P UTAMARU。なんだよアイスブレイクって。てめえの話がつまらねえから俺たちがアイスになってるってわかってんじゃねえかFUCK!って感じで「俺の営業トークを見とけ!」感が凄くて生理的に無理~ってなったんで適当に放っといたんですけど、1ヶ月も立たずに転職したらしく、そいつと商談進めてた同僚は後任の営業がほとんど引き継ぎされてなかったらしく苦労してた。

で、そいつは見事な2ブロックで革靴の先っぽが尖っていた。

なあ新人、見るべきものは手元の見積書じゃないぜ。営業の革靴の先っぽだよ。何?尖ってたって?せいぜい気をつけな。

 

 

 

■俺流無季自由律

おっさんはググらないよね

わからないままにするんだ

ググれカス

 

 

 

■買ったばかりの革のバッグの革の匂いがきつい。

電車で俺の隣に誰も来ないのはこの革の匂いがキツイからだろうか。それとも俺の体臭が革の匂い以上にキツイからだろうか。後者だとすると泣いちゃうんだけど。

 


子供の頃よく遊びに行った荒川の河川敷では川の反対岸になめし工場があり、悪臭がいつもしていた。俺はその匂いがどうしても耐えられなかった。俺の実家は靴屋で、革靴もたくさんあったので、店内がいつも革の匂いに包まれていた。中学生くらいの頃、進路を考え始めたタイミングで俺は親父に俺は店を継げないと言った。革の匂いでゲロを吐くからだ、と。祖父、父と2代続けた靴屋ではあったので、俺なりに緊張しながら伝えたつもりだはあったんだけど、親父は特に気にした風もなく「そうか」と言っただけだった。

俺の心配など全く不要で、時代遅れの商店街のちっぽけな靴屋は淘汰され、俺が高校生の頃にあっけなく潰れた。俺が店を継げない、と言った頃既に店を畳むつもりだったのだろう。

潰れた店の跡地に喫茶店の大手チェーンが入り、テナント料で親父は仕事をせずとも暮らしが出来るようになった。

毎朝モーニングをその喫茶店で食べるようになり、性格は見る見る明るくなった。別にいいんだけど、そんな姿を見ると「俺が緊張して店は継げないって言った時の気持ち、返せよ」って言いたくなる。