もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

名乗り出てほしい

やってしまった。

ホワイトデーなのにお返しを家に忘れてきてしまった。

とはいえもらったのはたったの3個なので大きな影響はないのだけど、やっぱりこういう会社で半ば慣例的に行われているイベントごとでやるべきことをしそびれるというのは感情的にはうしろめたいというか、何か重大な失敗をしてしまった感が強い。

朝会社の入っているビルの玄関前で声に「あ!」って出して立ち止まりましたからね。そこで気づくっていうね。

しょうがないからもらった人となんとなく会いづらくてちょっと意識的に避けてしまいました。こういう時に上手な人はなんか言うんだろうか。
「いやあ、ちょっと忘れちゃって。明日倍にして渡しますよ!」
とかいうと社会人生活って楽しくなるんですか。違いますか、そうですか。

まあしょうがないので明日渡そうとは思っているが、実は3つもらったうちの一個の相手がわからない。
バレンタインの日、いつの間にかデスクの上に置いてあって、名前が書いていないのだ。
どう思いますこれ。わかんないよこれじゃ。なんですか、匿名でランドセルとか送る人的な。タイガーマスク的な。ねずみ小僧的な。あまりに孤独な魂を抱えた男を不憫に思ってチョコレートを分け与えた聖母でしょうか。

ただね、現実問題困るわけ。
こういう人間ですから聞きにくいんですよ、周りの女性に。
「なんか名前の書いてないチョコがあったんだけど、これ置いてくれました?」
とか自分からとてもじゃないけど聞けない。
「はあ?お前にやるわけないだろ」
という感情が顔に出るのを見たくない。
本当にくれる人が思いつかないのだ。
近くの先輩男性社員に聞いてみようと思ったものの、
「俺、それもらってない」
とかなったら、それはそれで気まずいじゃないの。
何、どうしたらいいの。なんなの。なんで匿名でチョコ置くの。ありがたいけどさ。頼むよ、名乗ってよ。

 

あと関係ないけど、ホワイトデーの日って女の人の普段の交友関係が見えて興味深かった。

あ、この人意外とバレンタインにいろんな人にチョコ配ってたんだなあと思うくらい一日中次から次へと各部の男性がチョコを入れ替わり立ち代り持ってきている女性がいて、デスクの上がお菓子だらけになっていた。

この人とこの人は仲いいんだなーとか。

そう考えるとそこそこ社員数のいる会社でかつ女性の割合が比較的多い部署にいるにも関わらず、奇跡の3個でチョコをストップさせた僕の脅威のディフェンス能力こそ評価してほしいところだ。ストイックに仕事をしてきた結果だと自負している。これは余談だが、今年はついに妻からもチョコをもらえなかった。僕も深く考えてはいなかったが、「あ、忘れてた!」と言われた時の気持ちに、寂しさがなかったと言えば嘘になる。そんな妻は会社から持ち帰った僕のたった3つのチョコを子供たちとともに綺麗に食べきってくれた。

 

というわけで僕は今送り主が決まっていないチョコを一個持っている。
明日会社に持って行ってどうしようか、今から気が重い。
それ以前に一日遅れでお返しを渡さないといけないことが、気が重い。
とにかく、気が重い。