もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

あそぼう

誰かを傷つけずに生きることなど基本的には不可能で俺たちはいつでも無自覚な加害者として傷つけたり傷つけられたりして生きている。目の前に革製のキーケースと定期入れとスマホのケースと財布があってかつてそれらを皮膚の一部として生きた牛のことを思う。彼らの一部が今ここにある。俺の足の甲の皮膚がめくれて剥がれている。どこかにぶつけたのか痛みさえ既に感じず治りかけの時期に感じる痛痒さを伴う疼痛のみがある。指で引っ張ると想像よりも弾力のある力強さで簡単には剥がれない。こんなところだけ生命力の強さを見せずにもっと普段の生活の中で生き生きとした生命の輝きみたいなものを感じさせることはないのだろうか。普段の俺は生きながら死んでいる。ライフイズリビングデッド。そんな奴周りに腐るほどいるが。自覚的でありたいとは思う。昔興味本位で見てしまった動画の中で少年たちが人殺しをしていた。ホームビデオのようにのどかな光景でまるでバーベキューをしているようなその景色に違和感がありつつも俺は目を離せなかった。ごついナイフが被害者の顔に食い込んだが思った以上に人間の皮膚は弾力があり切り裂くのに苦戦しやがて諦めた。俺は足の甲の皮膚を引っ張りながらそんなことを思い出した。明日は病院へ検査へ行く。9時の予約票を出して主治医の名前を改めて確認する。新聞で長い間4コマ漫画を描いていた漫画家と同じ苗字だ。俺の4コマにどんなオチを付ければいいのか、まだ決めあぐねているのかもしれない。