もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

ワクチン

先日、俺の住む自治体でようやく俺と妻の世代の申し込み受付がスタートした。

接種が始まったのではない。
接種をするための、予約の受け付けがスタートしたのだ。

ネットの予約をするためにスマホ片手に時計とにらめっこをして準備したものの、
ログインした途端、八月いっぱいまでバツ印。
今ログインしたばかりなのに、だ。
いくつかの会場を考えて検索してみる。
三角印を見つけ、クリックするものの「予定人数を上回りました」の文字。

結局、俺たちは予約の申し込みすらできなかった。

実家の親の元へ諸用で顔を出すと、ワクチン2回目をとっくに終えた高齢者の父親は仲間とゴルフに出かけている。

食事を取りに近所の寿司屋に行けばマスクをつけずに入ってきた老人が
「マスクしてくるの忘れちまったよ!」
「ワクチンはしてあっからよ」
を大声で店主に話しかけている。

俺は黙々と食事を済ませると逃げるように店を出た。
老人は酒を飲みながらなおも話し続けている。
「ええ、ええ」
と困惑しつつも必死に相槌を打ち続ける店主の顔を、俺は見れなかった。

なんて素晴らしい、住みやすい国なんだろう。
俺はもう、この国で生きるのは十分だな。もう、十分だ。