もうだめかもしれない。

大丈夫ですかと聞かれたら、はい大丈夫ですと言うタイプの人間です。

曇天

あっという間に太ってきた。

ジムには行けない。
在宅勤務でただでさえ少なかった運動量がさらに減る。
家にずっといる子供たちの喧嘩でストレスが増える。
子供に怒る。
妻との会話が減る。
食べる量が増す。

悪循環。
わかってはいるが、ここ数ヶ月解決法が見いだせない悪夢のスパイラルだ。

全世界的にそうなのだろうが、この1年間で積み重なったストレスや不安が
行き場をなくして体中を蝕んできている。

ささいなことが許せなくなり
どうでもいいことが気に掛かる。

怒りっぽくなり、他人に厳しくなり、無気力になってきている。

毎日ビタミン剤を飲んで、プラシーボ効果だろうがなんだろうが、頼れるものはなんでも頼って一日をやりすごす。
乗り切る。

そんな繰り返しで、日々を過ごす。やり過ごす。

そんな雑で、もったいない毎日が今年に入ってもう2週間過ぎてしまった。

大丈夫、たいしたことない、気にしない、と言い聞かせてきた嘘が、少しづつ剥がれていくのがよくわかる。
不安と恐怖が心の奥底でぼんやりとしていたところに、ここ数ヶ月の仕事上の変化やストレスなども重なり、
気持ちのコントロールがうまくいっていないと自分でもわかる。

不安が覚醒し、その輪郭がはっきりしてきているのがわかる。
不安が完全に目を覚ましてしまえば、また何かが元にもどってしまうのではないかと別の不安が生まれる。
キリがない。

換気のために細く開けた窓の向こう側には曇天の空の下、人通りのほとんどない歩道が見えている。
俺はそこに顔を近づけて外の空気を吸う。冷たい外気が肺の中に入り込んできて少しだけ頭がスッキリした気になる。
息苦しさ、閉塞感。檻の中に閉じ込められた動物たちがこんな気分なのかと思うと、たまらない気分になる。
去年の初めに消えた猫のことを思い出して、あいつも外に行きたかったんだなと思う。